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例) 多治見 まち イベント

こと  2024.04.05

映画『僕たちは川の字で寝られるだろうか』 yoitokiインタビュー 映画の「謎」と“僕たち”が伝えたかったこと

あっつう度

2024年1月、岐阜県東濃地方を舞台にした映画『僕たちは川の字で寝られるだろうか』がYouTubeで公開されました。この作品を手掛けたのは、東濃地方で「面白いことを企てたい」と集まった非営利グループ「yoitoki(よいとき)」です。

 

映画のあらすじは、高校の同級生たちが大学生となり、夏休みの帰省時に始まる謎解きミステリー。土岐や瑞浪、多治見の各所で撮影され、地域の人が出演し、制作に携わっています。今回はyoitokiのメンバーである伊藤一真さん、加藤翔也さん、西尾拓哉さんにインタビュー。記事の後半は謎解きミステリーのヒントにも迫ります!

 

作品は、こちらから

映画『僕たちは川の字で寝られるだろうか』(34分、yoitoki製作)

 

 

yoitokiは「自分たちが好きなことをやる」をベースに

 

 

岐阜県土岐市を中心に東濃地方で活動する非営利グループ「yoitoki」。在籍メンバーは、角山製陶所(土岐市)の伊藤一真さん、愛岐木材住建株式会社(土岐市)の犬塚公一朗さん、株式会社ジェイエス・アート(土岐市)の加藤翔也さん、株式会社エネファント(多治見市)の西尾拓哉さんの4人です。

 

メンバー全員、日中は異なる業界で仕事しており、yoitokiの企画会議は就業後に行っています。集合時間が夜なので、宵の時=「よいとき」というチーム名が生まれたそうです。まずはyoitokiの成り立ちから伺いました。

 

 

yoitoki在籍メンバー(左から)伊藤一真さん、犬塚公一朗、加藤翔也さん、西尾拓哉さん

 

―yoitokiというチームが生まれるきっかけから教えてください。

 

加藤:僕がドライブインシアターに憧れていて「やってみない?」と話したのが始まりです。

 

伊藤:ドライブインシアターは面白そうだと思いました。古いアメリカのカルチャーに憧れがあったから、やってみたいなって。

 

加藤:動いてみたものの、一回の上映で100万円ほど必要なことが分かり断念。まずは僕たちの活動を応援してくれる人、フォロワーを増やしたいという考えからフリーマーケットを始めました。

 

―活動のフォロワーを増やすという目的を持って、イベントを始めたんですね。

 

加藤:22年4月に土岐市役所でフリー・クリエイターズマーケット「Trophy」を開催しました。それが好評で土岐市観光協会からご依頼をいただき、同年9月に土岐市のもとてらす東美濃で古着・古本マーケットを開催しました。

 

西尾;yoitokiがやっていることは、まちづくりや地域活性化に見えるかもしれません。でも、地域活性化は簡単なことではないし、まちづくりに取り組む皆さんが長期的な視点で日々改善しながらやっていることを本業の外でやり続けるのはハードです。だから、あくまで僕たちはまちづくりを旗印に掲げてはいません。

 

2022年4月に開催された第一回「trophy」も、フリーマーケットが好きだったので企画した

 

 

―「まちづくり」「地域活性化」を掲げて活動するスタンスではない。

 

西尾:地域でまちづくりをしている先輩方がいらっしゃるので、そこは任せる。僕たちは「まちのために」を前提にせず、自分たちが楽しく続けていくことを大事しています。だから、全て「自分たちが楽しいかどうか」で企画しています。そんなyoitokiの活動を見た人が「面白いことをやっている人たちがいる」「土岐でもこんなことができるんだ」と感じて活動のフォロワーになってほしい。

 

―自分たちが好きなことだから、続けられる。

 

西尾:映画に関しても、まちの視点を入れて制作していますが、最初は「映画を作りたい」という気持ちから入りましたね。

 

 

岐阜の地で、自主制作の「映画」は生まれるのだろうか?

 

加藤翔也さん、株式会社ジェイエス・アート(土岐市)、主に陶磁器・硝子・ホーローなどの窯業向け転写紙をスクリーン印刷という伝統的な技法で生産している

 

―映画づくりは、脚本から進めたのでしょうか?

 

加藤:全体の流れ、最初と最後のシーン、やりたいことは決まっていました。謎解きは後付けです。謎解きを作ってくれる人を探して。

 

―謎解きも地元の人が作ってくれることに。役者や音楽など、制作チームはどのように集めたんですか? 映画を作ったことがないので段取りがイメージできなくて……。

 

加藤:手当たり次第、声をかけました。

 

伊藤:正解かどうかも分からない作り方。笑

 

西尾:フリマイベントの写真を撮ってくれていた人に映画のカメラマンをお願いしました。動画撮影・編集をしてくれる人が身近にいたことは大きかったですね。

 

伊藤:補助金のサポートもいただきながら進めて、撮影期間は2ヶ月くらい。6日間で撮り切りました。

 

 

伊藤一真さん/角山製陶所(土岐市)、1897年に創業。以来100年以上も作品を生み出し続けてきた美濃焼の窯元

 

―映画には、ながせ商店街で店を営む渡邉直美さん(tekolin)や玉木秀典さん(玉木酒店)も出演していますよね。

 

加藤:知り合いに人の縁をつないでもらいました。演技指導は、瑞浪の劇団ゆきやなぎの皆さんにも協力をお願いしています。多治見の古着店chic…!さん、the CIDERさんは衣装で協力いただき、川村製紐株式会社さんは謎解きで使用する紐を提供してくださいました。

 

西尾:映画のエンディング曲は、多治見で活動するシンガーソングライターのsuekikiさんによるオリジナル曲「ホームカミング」です。自主制作映画に曲を書き下ろしてくれるのはすごいことですよね。

 

 

西尾拓哉さん/株式会社エネファント(多治見市)、太陽光発電設備の設置事業、一般家庭・法人向け小売電気事業などを展開している

 

―地域を巻き込みながら制作されたんですね。劇中では、東濃の各所がロケ地になっています。喫茶店や湿地など映画の世界観をつくる雰囲気が印象的です。

 

伊藤:ロケ地はgoogleマップを見ながら案を出し合いました。怪しそうな雰囲気のある場所も選びながら。

 

西尾:謎解きミステリーという軸があるから場所選びがブレない。誰もがよく知る場所だと面白くないので、地元の人でも知らないような場所を選びました。例えば、瑞浪の「天狗塚展望台」。名前は聞いたことがあっても行ったことない人が多い。

 

加藤:映画を観て、結果的に「こんな場所があるんだ」というまちの発見につながるんじゃないかなと。

 

 

謎解きミステリー!? 映画の「謎」を紐解くヒントを公開!

 

 

 

―映画を観た方からは、どんな感想を寄せられていますか?

 

加藤:「あれってどういうこと?」と聞かれますね。ヒントが欲しい!と言われることも。

 

西尾:僕の周りでは謎解きのLINEグループができて、いろんな考察が飛び交っています。公開日に同時再生して、メモを取りながら、問題を印刷して「あの人が怪しい」「動機がないよね?」などと盛り上がり……そんなやり取りを見ながら僕はニヤニヤしています。笑

 

 

 

今回の作品は「謎解き」がテーマ。しかし、一度観ただけでは疑問が残り、謎が謎を呼び、何度もリピート視聴したくなる人が多数! ……ということで、今回はyoitoki公式のヒントをいただきました。これを参考に映画の「謎」を読み解いてみませんか?

 

映画『僕たちは川の字で寝られるだろうか』を読み解く5つのヒント

 

ヒント①  UNOをしている4人の会話

 

ヒント② 最初に届いた手紙

 

ヒント③ 男子大学生の名前

 

ヒント④ 謎解きの問題が入っていた妻木城跡の手紙、湿地の桟橋に刺さっていた手紙、池田富士の手紙。謎解きの問題は、これだけだったのでしょうか?

 

ヒント⑤ 最後の「天狗塚展望台」で何が起きたのか。エンドロール直前、UNOの文字が赤くなる理由は?

 

 

 

 

加藤:なぜ、この映画を観た人がモヤモヤするかを考えたんです。この映画は「大学生による謎解きショー」じゃないんですよ。この映画自体が「謎解き」なんです。

 

―映画自体が謎解き。

 

加藤:一般的な謎解きは、問題が先に提示されています。けれど、この映画は問題と答えのどちらかを自分で探さなくちゃいけないんですよ。

 

―答えを先に見つける人もいる?

 

加藤:答えを先に見つける人もいるはずです。問題を探すことから始まる映画なんです。

 

 

試写会当日に配布されたポストカード

 

 

―劇中の謎解きの答え=犯人でもなく、エンディングで答えが解明されるわけではない。……そう聞いても分からないので、もう一回観ます。笑

 

西尾:前提が違うと答えにたどり着きづらくて永遠にループし続けてしまう。試写会当日に配布したポストカードや、YouTubeの公開日(2024年1月11日)にも意味があるので、インスタの投稿に載せています。全てに意味があるんです。

 

加藤:灯台下暗し。意外なところにヒントがあります。

 

 

 

 

―最後に、この映画を楽しんでいる人、これから観る人にメッセージをお願いします。

 

伊藤:皆さんの観た後の「何これ?」という感想は、僕らからすると「よし、やってやった!」という感触ですね。皆さんの顔を見るのがうれしいです。

 

西尾:試写会で「答えが分からなくてモヤモヤが残る。“なんか良かった”という薄い感想で1ヶ月もすれば忘れる作品ではなく、良くも悪くも記憶に残り続けるのが良い」という感想も頂きました。この映画は「解きたい」という人間の欲求で何度も見てしまう。しかも、謎解きのために観ていたら、結果的に多治見にある池田富士の標高を覚えているんですよ。まちを知りたくて観ているわけじゃないのに、映画を通じてまちに触れている。これは映画の持つ力だと感じますね。

 

―確かに。池田富士は370mだと覚えました!

 

西尾:池田富士には行ったことないけれど標高は知っている。土岐の喫茶店・八車のクリームソーダはソフトクリーム、みたいな。謎解きの力と映画の立ちつけの良さによって、皆さんの記憶に残って、劇中のまちに行ってみたくなるんじゃないかと感じます。

 

 

 

 

―フリーマーケットなど自分たちの好きなことを企画しながら、映画制作にたどり着きました。今後のyoitokiは、どんな展開が期待できますか?

 

加藤:僕は土岐の地場産業で働いていますが、周りの友人の多くは、東京や名古屋の都市部へ転出して生活基盤を築いています。若い世代も似たような状況ですよね。だからこそ、地元にいる人たちで楽しいことができるプラットフォームをつくればいい。yoitokiを経由してやりたいことができる舞台を生み出したいです。いろんな人が関われるようになったら面白いものがもっと生まれるはず。

 

―映画を作れたなら何でもやれそうな気がしますね!

 

加藤:イベントも映画も、やってみると何でもできちゃいますね!

 

西尾:応援してくれる人、僕たちをうまく使ってくれる人がもっと増えてほしい。イベントを企画するし、映画も作る。yoitokiは節操なくいろいろやるので「一緒にやりませんか?」と声をかけてもらえるとうれしいです。今回の映画は、いろんな人に協力してもらって完成したので、そういった関わり方を今後も続けていきたいですね。

 

 

作品は、こちらから

映画『僕たちは川の字で寝られるだろうか』(34分、yoitoki制作)

 

 

今回の取材でお邪魔したのは、yoitokiとも親交のある「スパイスファクトリー あべべ」。写真は、あべべカレー×ジンジャーポークカレーの2種盛り。ご協力ありがとうございました!

 

スパイスファクトリー あべべ

【住所】多治見市本町2丁目49-7

【営業時間】11030~22:00

【電話】050-5872-6715

 

 

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