検索したいキーワードを入力してください。
キーワードが複数ある場合は、
半角スペースで区切って入力してください。
例) 多治見 まち イベント

こと  2023.06.29

ホタルの里で農業を営む「ほたるファーム」 多治見でオーガニックマーケットを始めた思い

あっつう度

多治見市内でホタルが見られるのをご存知ですか? 水田が広がる6月、北小木(きたおぎ)町では、夜になるとホタルが飛び交う幻想的な風景が広がります。多治見市の北西部に位置する山間部で、里の人が代々豊かな自然を守ってきたこの地域は、多治見市天然記念物のゲンジボタルとヘイケボタルが生息する地域です。

 

この北小木の地で農業を始めた寺西正憲さん・弥生さん夫妻は、2022年のたじみビジネスプランコンテスト・創業部門でグランプリに輝いた「ほたるファーム」を営んでいます。関東から多治見に移住した経緯とコンテスト出場、そして多治見駅の虎渓用水広場で始めた「多治見オーガニックファーマーズマーケット」にかける思いについて取材しました。

 

 

農業を通じて、北小木の地域を守るためにできること

 

 

 

兵庫県出身の正憲さんは2018年に就農。埼玉県上尾市の認定農家として活動していました。多治見の本町オリベストリートで育ったのは、妻・弥生さん。二人は関東で出会い、生活していましたが、長女が小学校に入るタイミングと第二子が生まれる時期が重なったことをきっかけに、21年12月に弥生さんの地元である多治見へ引っ越しました。

 

ほたるファームを営む寺西正憲さん

 

多治見に移ってまもなく、正憲さんは弥生さんの祖母が暮らす北小木で農業を始動。北小木のダイナミックな自然を守っていきたいと屋号を「ほたるファーム」と名付けました。

 

北小木は手つかずの自然が残る反面、耕作放棄地が多く、農地を開拓するところからのスタートでした。22年1月から北小木町営農組合に加入し、減農薬の米、無農薬の野菜を栽培。ほたるファームで使う畑の開墾も組合の人が協力し、現在は約1600㎡の畑を中心に作物を育てています。

 

北小木町にあるほたるファームの農園

 

ほたるファームは、肥料や農薬を使わず、土地の力を最大限に高めて作物を育てる自然農法を実践しています。自然のサイクルを利用し、除草剤も使わない農法。害虫対策や草刈りが大変ですが、自然のあるがままに育った野菜は、ぎゅっと味が詰まっています。

 

 

現在育てているのは、固定種、在来種のサツマイモやサトイモなどのイモ類が中心。シャドークイーンやノーザンルビーという実と皮がカラフルなジャガイモも栽培。イモの断面が赤や紫の見た目でニーズが高いのだとか。将来は自家栽培の種を取り扱って未来につないでいきたいと考えており、現在も50種類以上の在来種、固定種の豆を扱っています。

 

 

この写真にある20種類以上の豆も希少な品種ばかり。「ごきねぶり」という豆は漢字で「御器ねぶり」と書き、器についた豆をねぶる(なめる)くらいおいしい、というのが名前の由来なのだとか。「花嫁小豆」や「むすめきたか」は嫁いだ娘が里帰りした時、すぐに食べさせられるくらい早く煮える豆。それぞれの名称から豆の特徴や生活風景が見えてきます。

 

 

たじみビジネスプランコンテストで壇上に立つ正憲さん(左)と弥生さん(右)

 

新天地で農業を始める最中、弥生さんが持ちかけたのは「たじみビジネスプランコンテスト2022」(以下、タジコン)の出場でした。タジコンは、多治見を活性化させるべく、市内への出店・創業へのチャレンジを促進するためのコンテスト。「正直、最初はあまり興味がなくて。妻が背中を押してくれたおかげですね」と振り返ります。

 

タジコンに向けてビジネスプランを模索する中、北小木地区の高齢化をはじめとした課題が見えてきました。「将来、地域を一人で維持し続けるのは難しい。農業を通じて北小木のファンを増やしたい」と考え、まちなかで暮らす人が自然に触れることができる農業体験をビジネスプランとしました。北小木の地域や農業に興味を持ち、関係人口を増やしていくことが地域を守ることにつながります。

 

これから畑を開墾する予定の耕作放棄地(北小木地区)

 

ほたるファームのビジネスプランは、創業部門のグランプリに輝きました。しかし、グランプリを獲得したから順風満帆……とのんびりしているわけにはいきません。日々、自然と対峙する農家は、気候や土壌、イノシシの獣害など苦労が絶えません。今後も耕作放棄地を開墾しながら、北小木の地で農業を広げていきます。

 

 

まちを離れて農業体験。土に触れ、心の洗濯をしてほしい

 

 

タジコンでグランプリを獲得したほたるファームの農業体験は、種まきから管理作業、収穫や加工までを行います。家族で訪れて、子どもたちとともに土に触れたり、肥料や農薬を使わない栽培方法を学んだり、自然の中でさまざまな経験を味わえます。

 

目指しているのは、一日だけの体験ではなく四季を通した経験。例えば、大豆は7月に種まき、12月は収穫と種とり、2月に味噌づくりをし、収穫した種から翌年に使う種を選別する作業も行います。野菜とともに自分たちも成長し、子どもたちは一生心に残る感動を畑から味わうことができます。農業体験で自分の食べている野菜が育つ様子を見た子どもは好き嫌いが減って積極的に野菜を食べられるようになるのだとか。自然農法を実践する農家から直接ノウハウを聞けるのも特徴です。

 

23年6月に開催された農業体験、川遊びの様子

 

北小木地区は、多治見駅からクルマで20分、名古屋から45分とアクセスが良く、休日にまちの喧騒から離れてリフレッシュするにも最適。畑だけでなく山や川も子どもの絶好の遊び場に。6月は多治見市内の家族が2組参加。サツマイモ堀りをして、午後は川遊びをしました。一日フルコースで自然を満喫できます。

 

ほたるファームの農業体験は毎月開催しており、どの月からでもスタートできます。料金は、一家族あたり入会金10,000円、年会費30,000円(年間会員)。単発での申込みの場合は、一家族あたり5,000円。もちろん一人での参加も可能で、料金は一回4,000円です。

 

ありのままの自然に触れながら、安心安全な野菜を育てるほたるファームで農業体験をしてみませんか? 申込みや問合せは、ほたるファームのホームページから。

https://hotarufarm.base.shop/p/00007

 

 

作る人も、使う人も。多治見で広がるオーガニックの輪

 

 

そして、寺西さん夫妻は、23年6月に多治見駅北口・虎渓用水広場で「多治見オーガニックファーマーズマーケット」をスタートしました。埼玉県の川口ファーマーズマーケットの運営メンバーとして培った経験を生かし、安心でおいしい野菜を定期的に購入してもらえる場所をつくりたいという思いから、さまざまな農家や作り手に声を掛けて準備を進めました。そのおかげで予想を越える出店希望者が集まり、初回からとても盛り上がりました。

 

 

 

農薬や化学肥料を使わない有機栽培の野菜を中心に、オーガニック食品やクラフト雑貨などが集結。岐阜県関市で農家とそばカフェを営む「おくど」や、陶都創造館で定期的に有機野菜を販売する「多治見農業グループ」、恵那市で菌床しいたけを栽培する「小いた園」など17店舗が集いました。

 

「売り場ができると作りがいがある」と笑顔で話す農家の皆さん。消費者との会話を楽しむ姿があちこちで見られました。「今日買ってくれた人が、おいしかったとリピートしてくれたらうれしい」とやりがいものぞかせる一面も。

 

 

 

 

6月開催では、恵那市の「恵那峡ワイナリー」も出店。自社の畑で育てたナイアガラを100%使用した有機ワインが並びました。ほたるファームと同じく、タジコン2022でまちなか部門グランプリを獲得したタイ料理「カオニャオ」も出店。ほかにも、五平餅など地元にちなんだグルメも楽しめました。

 

 

 

 

虎渓用水広場の水路では自然体験も実施! 多治見市土岐川観察館のスタッフを招き、普段は入れない水路で生き物の観察を行いました。この日はオイカワ、カワムツ、ミナミヌマエビなどを確認。土岐川から水を引く水路のため、この地域の生態系を知ることができます。子どもたちは自ら捕まえた生き物に興味津々。(次回の生き物観察は、9月以降に開催予定)

 

 

 

オーガニックの関心を高めたい、という思いを掲げる寺西夫妻。そして、正憲さんは「ファーマーズマーケットを通じて農家同士の連携が深められると思う。それによって、例えば地域の作物をまとめて卸すこともできるかもしれない」と話します。

 

一人一人では、できることに限りがある。だからこそ、作り手がチームとしてつながることで、持続可能な未来に近付いていく。農作物やオーガニック製品を作り、事業を営む人たちのためにも、今後もマーケットを盛り上げていくことを目指しています。

 

地元で育つおいしい野菜、オーガニック製品を作る人たちに出会い、直接話しながら買い物ができる機会。ぜひ皆さんも足を運んでみては。開催日程や出店者の情報は、多治見オーガニックファーマーズマーケットのInstagramをチェックしてください。

 

 

多治見オーガニックファーマーズマーケット

【日時】2023年7月2日(日)、8月6日(日) 10:00〜15:00

 ※月1回開催、9月以降の開催日はInstagramをチェック

【場所】多治見駅北口  虎渓用水広場(音羽町1-229)

【Instagram】 @tajimi_organic_farmers_market

※入場無料、小雨決行、荒天中止

 

 

ほたるファーム

【Instagram】@hotaru_farm

【E-mail】hotaru_farm@outlook.com

【農業体験の詳細】こちら

 

ほたるファーム

TEL 090-5116-6592
https://www.instagram.com/hotaru_farm/

SHARE

取材/広告掲載/プレスリリースに関する
お問い合わせや
たじみDMOの事業に関する
お問い合わせはこちらから