野焼き風・陶製アロマストーン作り「多治見るこみち」体験レポート⑤
多治見市近郊、東美濃エリアで開催される体験型観光プログラムを集め、発信している「多治見るこみち」。このまちに暮らす人が企画・案内人となって数々のワークショップを開催しています。多治見るこみちの運営担当をしているA2編集部・安藤も、実際に体験して魅力を伝えたい!という思いで体験レポートをつづります。
今回は多治見市東町にある安土桃山陶磁の里ヴォイス工房で「野焼きで陶製アロマストーン作り体験」に挑戦しました。安土桃山陶磁の里ヴォイス工房は、多治見市美濃焼ミュージアムと隣接している自然豊かな作陶施設です。ろくろ体験はもちろん、風鈴や干支人形といった季節のイベント講座なども数多く開催しており、外国からのお客さんも訪れています。
粘土を選んで、自由に形作り
今回作るアロマストーンはとは、火や電気を使わないアロマディフューザーです。精油をたらすと空間に香りが広がります。
まずは粘土の色を赤土か白土か選び、成形を始めます。私は事前に作りたいものを決めていたので、そのイメージに合う赤土をチョイスしました。いざ粘土の塊を目の前にすると、ここからちゃんと形になっていくのだろうか……と心配になりましたが、やってみるしかありません。スタッフの方の「どんな形でも正解はないですから!」の言葉に背中を押されながら、黙々と粘土をこねていきます。
いざやってみると学生時代の図工の授業を思い出し、久々の粘土の手触りに心が躍ります。あとはひたすら自分の思うままに……。時間が経つとどんどん乾いてしまうため、指に水を付けながら表面をなめらかに仕上げていきます。
夢中で作り続けること約1時間。納得のいく形になったら、一旦完成です。あとは工房の窯で焼いてもらうだけ!
炎が燃え盛る!登り窯の焼成見学
作った作品は別日にまとめて焼成されます。その様子も見学ができるということで、再度ヴォイス工房へ足を運びました。
今回は野焼きの要領で焼成します。使用するのは「登り窯」。やきものを焼成するときに使用する窯の様式のひとつで、階段状になっているのが特徴です。登り窯を使うと火の回りが良く、温度も上がりやすいのだとか。
積もった灰の上に作品を並べ、その上から新聞や細かい枝をかぶせます。窯の中でも温度が上がりやすい位置や焼けやすい場所があるようで、スタッフの方が枝の量や配置を細かく調整していました。
作品を窯へ詰める作業が終わると、いよいよ点火です。炎をつけると瞬く間に窯全体に広がり、燃え盛ります。温度は、800℃くらいまで上がるのだとか。普段なかなか見ることができない焼成を、間近で見学できて感動!実際に焼かれている様子を見ることで、出来上がりがより楽しみになります。
私は、多治見市のマスコットキャラクターである「うながっぱ」を作りました。完成したアロマストーンは焼成前より赤く発色し、うながっぱのイメージともぴったり!
うながっぱの後ろには少し炭がついたような跡がありました。このように黒くなることを「炭化」と言うそうです。黒い模様が全体に出る場合もあるし、今回のようにあまり出ないこともあるのだとか。野焼きならではの色合いや独特な風合いは二度と同じものが作れない分、愛着が湧いてきます。
「どこに炭化の模様が出るかは、窯から出してみないと分かりません。だからこそ面白いんです」と、スタッフの山浦寿美さんは話します。
今までろくろ体験などはやったことがありましたが、体験後に出来上がったものを受け取るだけで、焼成する様子までは見たことはありませんでした。作陶の一連の流れが見られるのは、やきものが特産品である地域に住んでいるからこそ。実際の目で見て体験をすることで美濃焼がより身近に、より好きになりました。
野焼き風の講座はヴォイス工房では今回が初めての試み。来年も開催される予定です。自分の好きな形でオリジナルの作品を作ってみてはいかがでしょうか。
番外編:うながっぱくんに作品をお披露目
せっかくなので、うながっぱくんに私の作品を見てもらいました。並べてみると意外と似ているのでは!?うながっぱくんも喜んでくれました。
ヴォイス工房では毎年、窯から吹き上がる炎を見学したり、窯の中に薪を入れる窯焚き体験が楽しめる「穴窯フェア」が開催されています。今年は11月25日(土)の夕方からが一番見どころの時間帯ですので、ぜひお越しください。
◎安土桃山陶磁の里 ヴォイス工房
【住所】多治見市東町1-9-17
【電話】0572-25-2233
507-0033
本町3-25 ヒラクビル3F
TEL 0572-51-8156
MAIL tajimirukomichi@tajimi-dmo.jp
https://tajimirukomichi.jp/