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例) 多治見 まち イベント

こと 場所  2026.01.23

吉川製型所見学会「多治見るこみち」体験レポート⑬

あっつう度

寒さが本格的になり、家で過ごす時間が増える季節。そんな時こそ「多治見るこみち」を活用して、いつもより少し特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

多治見るこみちとは、多治見市近郊、東美濃エリアで開催されるワークショップを集めたもの。このまちに暮らす人が企画・案内人となり、このまちならではの体験を開催しています。申し込み方法は「多治見るこみち」のホームページから会員登録(無料)をして、気になるプログラムを開き、開催スケジュールを確認して予約をするだけ。多治見るこみちの運営担当でもあるA2編集部・はなこが実際に体験し、魅力をお伝えします!

 

今回は、美濃焼を支える縁の下の力持ちである「型」を専門に手がける工房「吉川製型所」の見学会をご紹介します。

 

 

量産の器に欠かすことのできない「型」を作る仕事

 

 

訪れたのは、多治見市内で長年美濃焼用の石膏型を作り続けてきた吉川製型所。2代目の吉川清和さんと晴恵さんご夫婦で営んでいます。普段、器を使う側としてはなかなか意識することのない「型」を専門に扱う工房です。

 

正直に言うと、見学前の私の疑問は「そもそも石膏型ってなに?」から始まりました。

 

石膏型とは、陶器を成形するための型のことです。この型を使うことで、同じ形、同じサイズ、同じデザインの器を安定して数多く生産することが可能になります。均一に伸ばした粘土を押し付けて成形するため、厚みを一定に保ちやすく、強度や耐久性などが向上するというメリットもあります。

陶器の成形方法としてよく知られているのは、ろくろや手びねりですが、実は私たちが日常的に手にする量産の器の多くは、こうした石膏型を使って作られています。

 

 

石膏型はどうやって作られる?

 

花の写真をもとに原型を作る

見学会では、自由に質問をしながら、型づくりの工程について教えていただきました。

 

まず始まるのは「原型」づくり。写真や図面をもとに、器の元となる形を作ります。この原形の完成度が最終的な器の仕上がりを左右するため、デザインや寸法はミリ単位で調整されます。これは石膏型づくりの設計図であり、土台となる重要な工程です。

 

「こんな風に彫るんだよ」と吉川清和さんの実演

石膏は主に竹でできたヘラで削っていきます。まっさらな石膏から繊細な模様が浮かび上がる様子はまさに職人技そのもの。「ろくろなどの動力を使う方法だと裏側まで作れない、型屋ならではのデザインだよね」と吉川さんは笑顔で話します。

 

裏側にも葉のデザインが!
型の元となるケース

次に、完成した原型を囲うように枠を組み、石膏を流し入れて型取りをします。しばらくすると原型の型を写し取った「ケース」ができます。このケースが、同じ型を量産するための“型の型”となります。

 

気泡が入らないようにケースをゴトゴト揺らしながら石膏を流し入れる

最後に、そのケースに石膏を流し込み「型」ができあがります。こうして完成した型が、窯元や作り手の元へ渡り、器づくりへとつながっていくのです。

 

裏面と表面の石膏型 完成したばかりの石膏型は発熱していて少し温かい

 

和やかな見学会と、仕事への姿勢

 

 

型づくりについて学んだあとは、待ちに待った昼食タイム。おむすび すずやのおむすびと、お惣菜が素敵な器に盛り付けられて用意されていました。先ほど原型を見せてもらった器や箸置きなど、作り方を知ったあとに手に取ると自然と器を見る目線も変わってきます。

 

この日の見学会では私の他に、多治見るこみちリピーターの方と陶芸家の方が一緒に参加。普段から陶芸家の方が見学や相談に訪れることも多く、自作の型を持ち込んでアドバイスを求める人もいるそうです。

 

雑談も交えて休憩タイム

 

昼食後は、工房の奥にある倉庫へ。そこには、これまで吉川さんが手がけてきた皿やカップ、フィギュアなどの原型がずらりと並びます。まさに“原型の宝庫”です。

 

「これはどうやって作るんですか?」「取っ手をつけるときのポイントは?」と質問が次々と飛び交い、場の空気も一気に熱を帯びていきます。

 

 

タタラ成形用の石膏型

吉川製型所ではタタラ型の販売も行っています。実際に陶芸家や作り手がこの工房を訪れて型を選び、そこから新たな作品づくりへとつなげることもあるそうです。

 

 

産地の未来へつなぐ技術

 

吉川清和さん・吉川晴恵さん

「信用第一だからね。完成度は高く、早く仕上げるように意識している」と、吉川さん。一つひとつの仕事に真摯に向き合い、相手の期待に応え続けてきたことが、長年にわたって多くの窯元や作り手から信頼されてきた理由なのだと感じました。

 

持ち込みの型をお直しする場面も

実は、陶器の「型」を専門に手がける工房は、日本全国でもわずか4県にしかないほど。器づくりに欠かせない存在でありながら、その技術を間近で見られる機会は決して多くありません。だからこそ吉川製型所では、「技術を知りたい人には、できるだけ伝えたい」「必要としている人に、ちゃんと知らせたい」という想いから、見学会を開催しています。実際の現場で話を聞き、作業を目の前で見ることで、器づくりの奥行きや美濃焼の魅力をより深く知ることができます。

 

見学会には、日本各地から陶芸家や作り手、ものづくりに関心のある人たちが訪れます。専門的な技術に触れながらも、吉川夫婦が作り出すあたたかな雰囲気の中で交流できるのも、この見学会ならではの魅力です。

 

 

陶器のタテ型オカリナ「セラリーナ」

 

鮮やかに塗装されたセラリーナ

セラリーナとは「セラミック」と「オカリナ」を掛け合わせ、吉川製型所が開発した楽器です。吉川晴恵さんはセラリーナの普及活動をしており、各地で演奏会やセラリーナ教室を開講しています。

 

2月にはセラリーナの演奏会も予定されているそうです。陶器から生まれる、やさしく澄んだ音色に、ぜひ癒されてみてはいかがでしょうか。

 

 

第7回セラリーナフェスティバル

【日時】2026年2月11日(祝・水)13:00~16:00

【会場】多治見市産業文化センター5F 大ホール

※入場料 無料

 

■吉川製型所・セラリーナ工房

【住所】多治見市滝呂町8-157

【営業時間】9:00〜17:00

【定休日】不定休

 

多治見るこみち

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多治見るこみち事務局(たじみDMO内)

507-0033
多治見市本町3-25 ヒラクビル3F
TEL 0572-51-8156
MAIL tajimirukomichi@tajimi-dmo.jp
https://tajimirukomichi.jp/

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