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例) 多治見 まち イベント

場所  2023.08.08

本町オリベストリートに誕生した、土を表現するスタジオビレッジ THE GROUND MINO

あっつう度

2023年4月に本町オリベストリートにオープンした「THE GROUND MINO(ザ グラウンド ミノ)」。美濃の陶作家の作品が並ぶ器のショップやギャラリー、飲食店やシェアスタジオなど複数のエリアから構成された、産地文化の土壌を育む複合施設です。

 

今回は、THE GROUND MINOのグランドマネージャー・梶川今日子さんに施設を案内していただきました。多治見に生まれた新しいスポットの全貌と思いをご紹介します。

 

 

地元作家40人の器が並ぶショップと、土のインスタレーション

 

施設を案内していただいたグランドマネージャー・梶川今日子さん

 

明治から昭和初期にかけて建てられた商家や蔵が残る本町オリベストリート。多治見の観光拠点として多くの人が足を運んでいます。中ほどに位置する約1000坪の敷地につくられたのがTHE GROUND MINO。美濃の地から新たな産地文化の土壌を育むべく、さまざまな体験が五感で味わえる施設です。

 

 

まずは「at Kiln(アット キルン) MINO」へ。美濃の陶作家の器を中心とした作品が並ぶショップです。東京・青山にも店舗を構えており、ギャラリー、陶芸教室を展開しています。

 

 

 

こちらでは美濃で活躍する約50人の作家の作品を取り扱っています。2カ月おきに季節に合わせた企画展示も開催。作家名と経歴がタイルに表記されており、多治見らしさが感じられます。

 

 

ショップに併設するのは土とアート作品の展示をする「at Kiln MINO 蔵 -KURA Art Space-」。元々、敷地内にあった蔵を生かしたアートギャラリーです。美濃で活躍するアーティストを中心に、土の素材を大胆に造形したアート作品の展示を行います。普段は見ることのできない、うつわになる前の土や原料を実際に触ることもできます。

 

 

 

取材時は、美濃でスタートしたブランド「MINO SOIL」のエキシビションが行われていました。この地方でとれる原土を使って、ブレンドの技術を駆使して百通りの陶土を表現、可視化したアートピースが並んでいました。鉱山の地層写真や木の化石である木節も展示。美濃の自然の豊かさと歴史、産地の持つ技術と多様性を感じられます。

 

 

施設内は、建物が複数に分かれており、それぞれをつなぐ庭も元々の古民家に植えられていた植物を生かして美しく整えられています。庭の随所にも、窯業の面影が。例えば、玉砂利のように白く敷き詰められているのは、釉薬を混ぜる「ボールミル」という機械で使用される玉石。古くなって捨てられるものをここで再利用しているそうです。

 

 

もう一つのショップ「at Kiln MINO Plants」では、美濃で活躍する陶作家や窯元の器、リメイクされた器に合わせてアレンジされた植栽や花器を手に取ることができます。

 

 

植栽は、多治見のフラワー&グリーンショップ・4equatriéme(カトリエム)、愛知県春日井市の後藤サボテンの協力のもと販売しています。器のデザインに合わせた植物の組み合わせは多種多様。やきものの花器も並んでおり、贈り物で喜ばれること間違いなし。

 

 

新素材・MINO MAKELAYを使った陶芸工房

 

 

離れに構えるのは、陶芸工房「at Kiln MINO Ceramics Studio」です。週末は一般の方の体験工房として土に触れ、電動ロクロを使って器作りを楽しめます。

 

 

ここで使える素材は、独自開発された「MINO MAKELAY(ミノメイクレイ)」という土。陶器の風合いを保ちながら、吸水性を抑えているため、食器洗浄機や電子レンジが使える利便性が高い新素材です。

 

この地域は、多種類の粘土や原料が採れるため、ブレンドの技術が発達しています。土の調合も、美濃で精製される粘土の特徴のひとつ。「美濃焼デザイン研究所」といったプロジェクトも立ち上げ、この地域の職人や作り手とともに、新素材の開発や未来へつなぐデザイン研究を進めているそうです。

 

 

また、本町オリベストリートに接するオープンアトリエ「at Kiln MINO Atelier_01」では、世界的に活躍する陶芸家・東金聖(とうがねひじり)さんが活動しています。

 

こちらも美濃で活躍する陶作家を応援するプロジェクト。この地を訪れる人々へリアルなインスタレーションとして、作陶の現場からダイレクトに伝わる感動を共有しています。

 

 

美濃の器を通じた、食文化を表現する

 

 

器を通じた食の提案も。パスタスタンド・POSTO は、多治見市根本町にあるレストラン「hoshizumi」の星住夫妻による新しいパスタの店です。季節と旬の素材を大切に、料理を通して器と食の素晴らしさを表現します。料理に使う野菜も、器も、どちらも土から生まれた素材。食と器が生み出す調和で、豊かな時間を提供しています。

 

 

ビストロをイメージした店内で楽しめるのは、予約制ランチコースです。(11:30と12:30の2部制、前菜盛り合わせ・パスタ・デザート・食後のドリンク)13:30からは、10種のパスタやイタリアのクラシックなデザートなど予約不要のアラカルトを提供しています。

 

 

 

器と食の親和性を発信するために、施設内にはキッチンスタジオも併設。通常のキッチン設備に加え、スチームコンベクションオーブンや真空包装機、急速冷凍機など、プロユースの厨房設備が備えられたシェアキッチンです。カウンター席とテーブル席もあり、美濃で作られた器を使って料理を盛り付け、提供することができます。料理教室や飲食店のテスト開業なども対応可能なのだとか。

 

 

また、写真撮影の各種機材を備えたフォトスタジオも完備。商品の物撮り、イメージカットはもちろん、キッチンスタジオと一緒に利用して、作った料理をのせて器を撮影することも。ECサイト、商品カタログ、SNS用の撮影にも活用できます。

 

 

地元に暮らす人が、美濃焼の素晴らしさを自慢できる場所に

 

 

最後に、本町オリベストリートに面し、カウンターキッチンを有する空間で、梶川さんに思いを伺いました。梶川さんは土岐市で生まれ、家業として幼い頃から窯業に接してきました。「作り手の助けになりたい」という思いから多治見や奈良で、ものづくりの発信や販売、販路支援をする仕事に就いてきたそうです。

 

当施設の開業に合わせて、奈良から帰郷した梶川さん。グランドマネージャーとして「やきものの業界を少しでも盛り上げたい。ここが美濃焼を自慢できるきっかけになれば、どれだけ素敵だろう」と話します。

 

地元に生まれ、暮らし続けていると、見えなくなるものがある。奈良に移り住んで、より一層、美濃焼や産地の価値に気付かされたそうです。

 

「THE GROUND MINOを通じて、多治見や東濃に住んでいる方々が、美濃焼や産地、土の素晴らしさを再認識していただきたいです。外から多治見に来られる方にも“美濃焼って素敵でしょ?”と紹介できるスポットとして当施設を利用していただけたらうれしい。そして、器の素晴らしさと食の楽しさを堪能してください」と梶川さん。

 

 

また、当施設を運営する会社として空き家活用や宿の開業、多治見にいろいろな人が集まるための仕組みづくりも目指しているそうです。

 

「私たちは、多治見が陶芸作家に限らず、さまざまなアーティストが暮らす地域になってほしいと考えています。ギャラリーとしても、土の素材を使った染色や絵など多角的なアート作品の企画展示や発信していきたいです」

 

 

器や土の可能性をひろげ、五感で味わう食文化を創造するTHE GROUND MINO。観光地として訪れる人に開くだけでなく、地元の人が足を運び、地域資源、美濃焼や産業に対する愛着が深まる場所を目指しています。今後は、月に1回のペースでマルシェなどのイベントも開催されます。多治見や東濃に暮らす人、窯業に携わっている人も気軽に足を運んでみては。最新情報はInstagramをチェック!

THE GROUND MINO

507-0033
本町6-2
TEL 0572-26-8651
https://theground.jp/

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