タイル名称統一100周年PR タイルピアノ完成
タイル名称統一100周年を記念し制作された、タイルで装飾されたピアノのお披露目会が、7月21日に虎渓用水広場で行われました。
タイル名称統一100周年記念プロジェクトの一環
敷瓦、化粧煉瓦など、さまざまな名称で呼ばれていたものが、1922年4月12日に行われた全国タイル業者大会で「タイル」に名称が統一されました。今年(2022年)4月12日は、統一からちょうど100年目のメモリアルイヤー。市内はもとより全国各地でさまざまな記念事業が開催されています。
「タイルは、身近なところだとモザイクタイルアートとして身の回り品を可愛く装飾したり、建築仕上げ材として外壁・内壁・床、さらには重要文化財など厳かな装飾にいたるまで広く使ってもらえる優秀なマテリアル(材料、素材)だと確信している。そのことに自信を持ち、今後の美濃焼タイルの振興と発展に努めたい」と話すのは、多治見市美濃焼タイル振興協議会の糠野嘉則会長。
さらなる100年を目指し、「タイルをより多くの人に知ってもらい、使っていただきいたい」—— 美濃焼タイル振興協議会が記念事業のメイン企画として計画したのが、このタイルピアノです。
ピアノにタイルを貼るという、おそらく世界で初めての試み。この制作を手掛けたのは、モザイクタイルアーティストの中村ジュンコさん。神奈川県鎌倉市にアトリエを構え、20年近くモザイクタイルアートに取り組まれています。
コンセプトは「フラワーサークル」
経験を積まれた中村さんでも、ピアノにタイルを貼るのは初めてで、苦労も多かったそうです。ストリートピアノとして、全国各地でたくさんの人に直に触れてもらいたい……見た人の心を捉える見た目はもちろん、強度を保つのが重要な要素であること、そして楽器として美しい音色を奏でられること。調律師やピアノ運送業者、タイル業者など専門家にもアドバイスをもらったそうです。
「コンセプトは‟フラワーサークル”。コロナ禍で、なかなか人が集まることができないけれど、このピアノを見て心が丸くなってもらえたらうれしい。ピアノを囲んで聴衆が丸くなる様子もイメージしました。そして、心に笑顔の花が咲いて、どんどん広がっていく、そんな願いを込めています」とにっこりする中村さん。
タイルそのものの良さを生かして
極力タイルをカットせず、それぞれの工房で作られたタイルそのものの形状を生かしながら、中村さんにしかできない表現を目指したとのこと。さまざまなモチーフが散りばめられた色とりどりのタイルピアノは、見ているだけで元気をもらえるようです。
ピアノのやさしい音色がまちを包む
式典の後半ではタイルピアノの音色を聞くことができました。昭和小学校3年生・山路明璃さん、昭和小学校5年生・山路未來さんによる姉妹ならではの息の合った連弾をはじめ、伊藤嘉子さんや、名古屋市出身のピアニスト・はちまん正人さんの美しい旋律に魅了されました。まさにピアノを囲んで笑顔になるひと時が生まれました。
中村さんは、「タイルは建具として素晴らしい。このような時世で、心を晴れやかにするもの、色が可愛らしいもの、形が美しいものをみんな求めているのでは。でも“生活”からあまり離れてしまうと実体験が薄くなりますよね。タイルというマテリアルは、世界的に5,000年以上の歴史があるし、日本でも愛好家が多い。まだタイルをあまり知らない人にも、タイルが焼き物だということ、そして産地が多治見だということを知ってもらい、たくさんタイルを愛してもらえるそんなツールの一つとして、このピアノがなってくれたらうれしいです」
タイルピアノは、笠原中央公民館に展示されたあと、全国をストリートピアノとして巡回する予定です。きっと、タイルのデザイン性や柔軟性、さまざまな可能性を届けてくれるでしょう。一人でも多くの方がこのピアノと出会い、そこかしこに笑顔の輪が生まれるとうれしいですね。このタイルピアノをモチーフにしたキーホルダーやポストカードなどのグッズ製作の話も進んでいるそうです。こちらもとても楽しみです。
現在、多治見市主催で実施されている「美濃焼GOタイル100」は、タイルの購入・体験も対象です。この機会に、ぜひ多治見産の美濃焼タイルに触れてみてください。
507-0901
笠原町2105-4
TEL 0572-43-2141
http://www.minoyakitile.com/