もの  2022.08.20

世代を超えて思い出を共有できる店に 茶屋 木曽馬

1972年、多治見市十九町で創業した「茶屋 木曽馬」。木曽馬の名物とも言える「かき氷」と言えば、「小さい頃によく食べていた」「高校のときに通っていた」と昔の思い出に直結する人も少なくありません。

 

2021年7月に多治見市小泉町に移転し、新たにお店を構えたのは創業者の孫にあたる長尾謙司郎さんです。地元の人に愛された味を受け継ぎ、新しい「木曽馬」として駆け出した経緯と思いをお聞きしました。

 

 

自家製「せんじ」とかき氷の器も、当時のままに

 

多治見市十九町にあった以前の店舗

 

約40年前、十九町の細い路地で始めた木曽馬は、かき氷や五平餅、あんまきが人気の甘味処。夏になるとかき氷を求めて多くの人が列をなしていました。夏になると長尾さんも手伝いに行っていたそうです。

 

――長尾さんが木曽馬を継ぐことになった経緯を聞かせてもらえますか。

 

元々、僕は名古屋で働いていて、その仕事を辞めて美濃加茂にある実家の和菓子店を手伝っていました。その頃、おばあちゃんが一人で切り盛りしていた木曽馬に通い、おじいちゃんが亡くなってからは、僕もかき氷と五平餅を作っていました。

 

――名古屋で働いていた頃は、自分が木曽馬を継ぐとは思っていなかったのでしょうか?

 

当時は全く考えていなかったです。ただ手伝いをしながら、木曽馬がどういうお店で、地域にどんな風に愛されているかを目の当たりにしました。僕自身もおじいちゃんのことがすごく好きだったし、店をこのままフェードアウトしてしまうのはもったいないと思い、今から8年ほど前、22歳のときに木曽馬を継ぐことを決意しました。

 

以前の店で、かき氷を作っている長尾さんの姿

 

――木曽馬が世代を超えて、まちに愛されているお店だと実感されたんですね。

 

子どもとおばあちゃんが一緒に食べに来たり、高校のときに通っていた人が子どもを連れて来てくれたりする。その光景がすごくいいなと思っていたので、移転後も当時の木曽馬にあった商品を残しています。かき氷と五平餅の味はそのまま、種類は増やしました。

 

――昔、通っていた人が食べて「あの味だ!」と感じられるんですね。

 

そうですね。かき氷の基本のベースで使われる自家製の「せんじ」は変わらず、当時のレシピで手作りしています。せんじ氷をオーダーする人もけっこう多いですよ。氷は、純水を使った天然氷です。おばあちゃんの時から扱っている春日井市の氷屋さんに頼んでいます。

 

かき氷 宇治金時(590円、税込み)

 

――こだわって作られている反面、かき氷の値段がすごくお値打ちですよね。

 

僕がここを始めた時、「子どもがお小遣いを握りしめて来られるお店に」というコンセプトを持っていました。以前は一番安いかき氷が300円だったので、さすがに値上げをしようと考えたときも、そのコンセプトが根底にあるので100円しか上げられないと思いました。低価格でちゃんとおいしいものを、というのはずっと考えていますね。

 

――かき氷が木のトレーに乗っているのは新しく変わった点でしょうか。

 

そうですね。働くスタッフの効率を考えた点と長椅子に座っていても食べやすいよう滑りにくいトレーを用意しました。かき氷に使っているガラスの器は当時のままです。まれに「器、小さくなった?」とおっしゃる方がいるんですけど、実は変えていないんです。笑 もしかしたら子どものときに食べた氷の印象が大きかったのかもしれないですね。

 

 

創業時から変わらないタレと、あんまきでの新しい挑戦

 

 

長尾さんが受け継いだのは味だけではなく、木曽馬に宿る思いです。創業当時から変わらないもの、そして店を承継した後、新たに挑戦していることについて伺いました。

 

 

――定番商品である五平餅のこだわりも教えてください。

 

一番のこだわりはタレですね。おじいちゃんが店を始めた時に独自で研究して作ったタレを引き継いで、ずっと継ぎ足しながら使っています。

 

――移転後には「あんまき」を復活されたんですね。

 

あんまきは、すごく手間がかかる商品で、おじいちゃんが亡くなってから販売できていませんでした。移転後に復活させるべく、おじいちゃんのレシピを元に試行錯誤して改良しました。当時はつぶあんのみでしたが、いまはカスタード、チーズ、求肥を加えた4種類に増やしました。懐かしいと買いに来てくれる人は多いですね。木曽馬のあんまきを多治見の名物として広めていきたいという目標があります。いずれネットショップも開設して、全国に発送したいです。

 

 

 

――多治見駅近くのエリアから、小泉町に移転された経緯も教えてください。

 

前の店の近くで3年ほど探しても、全然土地が見つからなかったんです。相談していた不動産の方からここの話を頂いて、取り継いでもらいました。小泉のエリアは探していませんでしたが、これだけ探し続ける中で出合えたのは一つのタイミングかなと思って決めました。つながりやご縁を感じましたね。

 

 

――オープンから1年経って、現時点での状況や心境はいかがですか?

 

思っていた以上に楽しいのと、思っていた3倍大変だというのはありますね。笑 楽しさは、自分が作ったものをお客さんが目の前で食べてくれること。よく来てくれている子どもが、親を連れてきてくれるのもうれしいですね。そういうお店をやっていきたいと思っていたので少しずつ実現できています。

 

――想像の3倍大変だったという点は?

 

思っていた以上に仕込みが大変でした。オープン当初は朝5時に起きて夜中の1時まで作業がかかったりして本当に大変でしたね。いまは仕込みの段取りも掴めるようになりました。集客面では、多治見でおばあちゃんが50年ほどやってきたお店なので、すでに多くの人に知ってもらえているのがありがたいですね。

 

 

――以前の木曽馬を知っている人だけでなく、若い世代や他地域の人にも足を運んでほしいですね。ちなみに、エプロンに刺繍されているのは木曽馬のロゴマークですか?

 

移転する際におばあちゃんがやっていた木曽馬を多治見のブランドとして根付かせようと考え、木曽馬だと分かるものをロゴマークとしてデザインしてもらいました。営業中に着用しているエプロンは、たじみビジネスプランコンテスト出場時に知り合った多治見市本町の古着店・CHIC…!の二橋さんに作ってもらいました。

 

 

――そして、店内のイートインスペースもすてきな空間です!

 

木のイスは、同じ小泉エリアにある山本木工所で作っていただきました。元々、僕は美濃加茂に出身なので多治見は知人もほとんどいませんでしたが、ここをオープンする前は地域の人に助けてもらいました。多治見の人はあたたかくて、頼ったら親身になって応えてくれてありがたかったです。

 

――木曽馬や長尾さんを応援したい人が多いからこそだと思います。ちなみに、おばあさんも木曽馬が続いていることを喜んでくれていますか?

 

そうですね。おばあちゃんも喜んでくれていて、いろいろな人に宣伝してくれています。店の形が変わっても何世代にも渡って思い出が残っていくのは大事だと感じますね。

 

 

 

――最後になりますが、木曽馬が大事にしていきたい思いを教えてください。

 

思い出を世代で共有できるお店でありたいです。同世代だけでなく、親になっても、孫にとっても同じように共感できる店として残していきたいと思います。ただ、残っていくには変えていかなきゃいけない側面もあると思うので、残すところは残し、変えるところは思い切って変えて、時代に乗っていけるように意識していきたいですね。

 

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小泉で新たに始まった木曽馬も、いまの子どもたちにとって「思い出の店」となり、世代を越えてつながっていくことでしょう。夏季限定となる木曽馬のかき氷は9月末まで食べられる予定です。最新情報はInstagram(@chaya_kisouma)をぜひチェックしてください!

 

 

 

 

そして、かき氷や夏の涼菓、夏の器を販売するイベント「四季と器と」が2022年8月27日(土)、28日(日)に多治見市内で開催されます。暑いまち・多治見で食べるからこそ、より一層おいしい「涼」が見つかるはず。参加店の木曽馬にもぜひ足を運んでみてください。イベントの詳細や参加店情報は、A2 webで随時発信中。

 

 

 

茶屋 木曽馬

 

多治見市小泉町8-25-1

【電話番号】0572-44-8455

【営業時間】10:00~17:00

【定休日】火曜日

 

茶屋 木曽馬

507-0073
多治見市小泉町8-25-1
TEL 0572-44-8455
https://www.instagram.com/chaya_kisouma/

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