「パンと器と 2023 めぐる」イベントレポート
2023年3月21日(火・祝)に開催された食と器のイベント「パンと器と 2023 めぐる」。多治見市内の各所を回遊しながら、パンを探し、器と出合い、多治見のまちを味わいます。
2019年から開催されているこのイベントは、今回で5年目。名古屋や遠方からも多くの人が訪れる人気企画です。多治見のまちなかのお店とコラボして市内外のおいしいパン店が限定出店したり、パンと器を合わせた特別な提案をしたり、どの順番で巡ろうかと迷うほど個性のある企画が多いのも特徴。今回はイベント当日の様子を、写真とともにレポートで紹介。ほんの一部ですが、レポートを通じてイベントの熱気とパンや器の情報も届けます。
今春、新たにオープンする複合施設 THE GROUND MINO
まずは、本町オリベストリートへ。2023年春に開業する「THE GROUND MINO」では、屋外のイベントスペースエリアでマルシェが開催されました。ラインナップは、パン、お菓子、器、コーヒーなど……このエリアだけでもおいしいものが勢ぞろい。オープン前から多くの人が行列を作っていました。
パンは、当イベントに初出店の中津川市「キュルティバァトゥール」です。阿木川湖畔の緑に囲まれた場所にあり、セルフビルドの小屋で国産小麦のパンを焼いています。店名は、フランス語で「耕す人」を意味する言葉なのだとか。大地を耕す農夫のように、少しずつ未来を耕していきたい、そんな思いで日々パン作りに取り組んでいるそうです。
多治見・大正町の住宅街にある小さなタルト店「La Fraise(ラ フレーズ)」も出店。今回は、焼きタルトやバターサンドが用意されていました。人気店のため、店頭では売り切れることも多く、La Fraiseを目当てに並ぶ人も。
当施設には、作陶やギャラリーを有する場所が入る予定です。一号店である青山店で展開しているオリジナル型のプレートも11色展開で販売されていました。THE GROUND MINOでは、開業後も週末を中心にマルシェの開催を構想しているのだとか。春のグランドオープンが楽しみです!今後の情報もA2 webで発信していきます。
【住所】多治見市本町6-2
【営業時間】未定(※2023年春 開業予定)
中庭の青空市で、パンと野菜と器を やままつ
明治9年から本町オリベストリートで陶磁器の卸問屋を営む「器の店 やままつ」。店内には食器や神仏具に至るまで、あらゆる美濃焼を取り扱っています。今回のイベントに合わせて、中庭を開放した青空市を開催。パンに合う器のコーナーや、クローバーカフェ、ドウヤハウスの出張販売が行われていました。
たじみビジネスプランコンテスト2022・創業部門でグランプリを獲得した「ほたるファーム」も出店。多治見で無農薬・無肥料の自然栽培を行っている寺西夫妻もお子さんといっしょに立っていました。今回は、自家農園で育てた野菜や黒豆を使ったフムスなどの加工品も販売。かぼちゃのポタージュは、熟成されたやさしい甘みに、クミン、ターメリックなどのスパイスが入った香り豊かなスープ。パンにぴったりなホッとする味わいでした。
【住所】多治見市本町6-53
【営業時間】10:00~18:00
毎年、行列必須の人気企画 tsunagu
本町オリベストリートから小道を進んだ先にある生活道具のセレクトショップ「tsunagu」。丁寧な暮らしを送るための、美しく機能的なデザインのものや愛着を持って長く使い続けられる道具が並ぶお店です。
実は、毎年ずらりと行列のできる人気店。そのお目当てとなるのは、美濃加茂市の人気店「ベッカライ・フジムラ」のパンです。栄養価の高いライ麦と自家製酵母を使用して焼き上げたドイツパンが、所狭しとテーブルに並んでいました。
屋外では、愛知県春日井市のお茶専門店「MY FAVORITE TEA」が出店。香りをテイスティングしながら、お気に入りのお茶と出合えます。tsunagu店内で同時開催されていたのが、恒例の企画「はるらんまんてん」です。期間中は、関市のパン切り包丁、カッティングボードやバターケースなどパンにまつわる道具も販売されていて、パンのある豊かな生活をイメージしながらお買い物が楽しめました。
【住所】多治見市本町5-15-2
【営業時間】11:00~18:00
やきものの春駒を添える、茶菓小のおやつ箱
本町オリベストリートから少し足を伸ばして向かったのは、三笠町にある小さなカフェ「茶菓小」です。陶芸家である夫婦が営む6席のみの小さなカフェは、門をくぐると庭と小さな池。そして、奥には作陶している工房もあるそうです。普段はケーキやお茶を楽しめるカフェですが、パンと器との企画に合わせて「茶菓小のおやつ箱」を特別に販売。
レモンクッキーや抹茶と大納言小豆のパウンドなど数種類のお菓子といっしょに入っているのが、陶芸活動家・小平健一さんが制作した春駒チャーム。(A2 webで「あの店のあの器」の連載コラムを書いている、あの小平さんです!)この日のために作られたやきものが添えられているおかしの詰め合わせ。多治見のまちらしさを感じる一箱でした。
「間の作り手」小平健一による【連載】 あの店のあの器 -真心- 前編
https://a2tajimi.jp/c-location/6141/
通常営業では、席数が6席のお店のため予約優先になっています。予約や問い合わせ方法は、Instagramでご確認を。
【住所】多治見市三笠町4-13
【営業時間】11:00〜17:00 不定休(※営業日はInstagramで確認を)
日本酒食堂で頂く hularito×ハチパン 限定ランチ
続いて、ながせ商店街の真ん中に位置する「日本酒食堂 hularito」へ。夜には、市場から仕入れた旬の食材やお酒に合うおかずがカウンターに並ぶ居酒屋ですが、今回30食限定でランチタイムにオープン。 多治見市太平町にあるパン店「hachipan」とコラボしたメニュー「ハチパンのまるぱんとふらりとの和牛すじの味噌煮と」を目当てに、こちらも開店前から行列ができていました。
hachipanで人気のもちもちまるぱんと合うお惣菜。バターをちょっとずつ溶かしながら頂きます。日本酒とも合いそうな、hularitoさんならではのパンコラボでした。
【住所】多治見市本町3-67-3
【営業時間】火~木曜 17:30~22:00、金曜 17:30~23:00 土曜 16:00-23:00
器と本と、パンとお花と ヒラクビル
hularitoの向かいにあるヒラクビルは、さまざまな企画が満載。1階の「ひらく本屋」では、多治見で制作をする陶芸家・中川夕花里さんのタイルをモチーフにした作品を展示販売。おいしいパンのお話や食卓が楽しくなる器の本の企画とともに、中川さんのカラフルな器が本とともに並んでいました。器と本の相性の良さを感じさせる、ワクワクする空間でした。
ひらく本屋に併設されている「本屋のとなり 喫茶わに」では、自家製マーマレードジャムをのせたフレンチトーストと、野菜もしっかり食べられるパングラタンという2つの限定メニューが登場。器には、喫茶わにのスタッフでもある福西さんの作品を使用。
大きな窓に向かうモザイクタイルのカウンターは、本と植物の華やかなディスプレイが施されていました。植物は多治見の花店・カトリエムが手掛けたアレンジです。商店街を歩く人が、写真を撮るために足を止める姿も見られました。
2階のキッチンスペースは、Sucre medicinal herbs×スナフキンがコラボで出店し。桜の香りが広がるハーブティーや自家製酵母パンやハーブウインナーとザワークラウトをサンドしたホットドッグを提供。ミモザをふんだんにあしらった装飾とともに、とても華やかな空間でした。
ヒラクビル(ひらく本屋、喫茶わに)
【住所】多治見市本町3-25 ヒラクビル1F
【営業時間】10:00~21:00(日曜のみ19:00まで)
手仕事の器とお菓子と PRODUCTS STORE
多治見駅・南口からすぐにある器の店「PRODUCTS STORE」では、群馬県桐生市で活動する陶芸作家・古川真紀子さんの個展を開催。独創的なモザイクや幾何学デザインの器が特徴的な作品が並んでいました。
そして、瀬戸にある小さな菓子店「mitten」のイベント限定ショートブレッドを販売。パンとネコの形状をあしらっていて、パッケージもイベント用にアレンジ。やさしい印象の古川さんの器にかわいいお菓子がお似合いです。こちらでも、多治見の花店・カトリエムが植物の装飾を手掛けており、花の香りとともに春の訪れを感じさせる展示になっていました。
【住所】多治見市田代町1-59
【営業時間】11:00~19:00(平日は17:00)
虎渓用水広場で、おいしいものとにぎわいを
今回は、虎渓用水広場でもパンにまつわるおいしいものが集合。キッチンカーなど9店舗が出店していました。丁寧に手作りされたクグロフ、フォカッチャ、スコーンを販売する「kouge(クグ)」、自家製トルティーヤのタコスやブリトーなどを提供する「Sayulita」など愛知からのお店も多数。たじみビジネスプランコンテスト2022・まちなか部門でグランプリを受賞した「カオニャオ」も出店し、タイカレーとロティを販売していました。
そして、今年は新たに「じゃんけん大会」を開催! イベント当日、参加店舗で1,000円以上買い物をした人にオリジナルステッカーを配布(先着300人)。虎渓用水広場にステッカーを持参すると、じゃんけん大会に参加できるという企画でした。勝者には、実行委員がセレクトする器をプレゼント。午後からはあいにくの雨模様でしたが、各賞ごとにじゃんけんが大盛り上がり!イベントポスターに使用されている角皿とマグカップがセットになった「新町ビル賞」、多治見のメーカー・丸朝製陶所の器をセットにした「PRODUCTS STORE賞」など豪華景品が贈られました。
人気のパン店が集まり、店ごとの企画を楽しみながらまちを歩く、年に一度の恒例イベント。パンを通じて、器の見え方や提案が変わるので、新たな出合いも広がっているのではないでしょうか。イベントに参加された方も、足を運べなかった方も、記事を通じて器×食の楽しみ方を感じ取ってもらえたらうれしいです。中心市街地で行うイベントのため、多治見市内の各所のパン店も集まっていました。ぜひイベントを通じて出合ったパン店にも足を運んでみてはいかがでしょう。
Photo by Hiroki Takao