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例) 多治見 まち イベント

場所  2024.09.12

建物の魅力がまちと調和する「第29回多治見ハーモニー大賞」

あっつう度

昔ながらの古民家の良さを活かしながらリノベーションを施す場所が、多治見に増えてきました。レトロとモダンが混ざり合う多治見のまちに調和し、美観的にも優れている建造物を表彰するのが「多治見ハーモニー大賞」。まちの景観・美観の啓発向上を図ることを目的としており、多治見商工会議所が毎年開催しています。2024年度で29回目、今年も受賞した建物へ伺いました。

 

建物の魅力がまちと調和する「第28回多治見ハーモニー大賞」

 

■第29回ハーモニー大賞 かまや多治見

 

2024年度、大賞に輝いたのは2023年4月にオープンした複合施設「かまや多治見」。美濃焼の商家が立ち並んでいた本町オリベストリートで、明治10年から時代の移り変わりを見てきた三軒長屋をリノベーションした建物です。

 

「美しき暮らし」をコンセプトに、1階には茶室や雑貨ショップ、カレー店、2階にはデザイン事務所やアトリエ、英会話教室などが入っています。

 

茶室の奥から桜の木が見える

かまや多治見にとって重要なポイントの茶室。和室とは違い、茶室の設えにはさまざまな決まりごとがあります。頭を低くしないと入れない小さな入口「にじり口」や、掛け軸を飾る「床の間」などお茶の先生や専門家に聞きながら取り入れたそうです。建物全体の図面と同じくらい、茶室の図面を何回も書き直して完成をさせたのだとか。

 

また、かまや多治見は扉や壁が透明な部分が多く、中の様子が良く見えます。これは日本家屋に由来しています。昔、ふすまや障子などで人の気配や音を感じるのが日本家屋の中でも大事な部分でした。それを今の素材で落とし込んだ時に、相手が見える状態を保つように意識をしたそうです。

 

古くて良いものと新しいものを融合し、互いの良いところがうまく合わせ、形となっています。

 

外壁左側は土壁・右側は竹

庭の外壁も、瓦などを剥がす中で出てきた竹や土が再利用されています。地域の子どもたちや家族などが集まって壁を塗ったそうで、壁をよく見ると均一に塗り拡げてあるところや指の模様がついているところなど所々質感が違っています。塗る手伝いをした子どもたちが、時々自分の塗った箇所を見に来たりもするのだとか。みんなで作業をしたからこそ、地域の人との交流の場にもなっています。

 

(左)庭側・(右)本町オリベストリート側

 

かまや多治見のオーナー・加藤貴也さんに建物の見てほしいポイントをお聞きすると、屋根が珍しいと教えてくれました。本町オリベストリート側から見える部分は日本家屋のような見た目でまち並みに溶け込んでいますが、反対側は金属素材になっており雰囲気がガラッと変わります。その境目である屋根は瓦と金属が半分ずつに配置されており、あまり他では見られない特徴的な屋根になっています。

 

(上)本町オリベストリート側・(下)庭側

「僕は、2019年のたじみビジネスプランコンテストに挑戦しました。もしその時にグランプリを取っていたら、計画が壮大すぎて期間内に完成できず中途半端に終わっていたのかもしれない」

 

加藤さんがかまや多治見の構想を練ってから、完成まで約3年。「この3年という時間があったからこそ、結果的にじっくりと進めてこれた」と加藤さんは話します。

 

オーナーの加藤貴也さん

まずは、かまや多治見に入っている個性豊かで自分の世界観を持った店主たちが楽しく居心地の良い場所にしたい。

「自分たちが楽しく、居心地の良い空間であれば、その空気感は来たお客さんにも伝わりますよね」と笑顔の加藤さん。

 

コンセプトである「美しき暮らし」。それを良いと思う感覚が似ている人が、かまやに多く集まっているそうです。感度が高く、好きなものに対してこだわりを持っている人が来ることが多く、そこに共感した人たちが、今までと違うことをするきっかけになる場所になったらうれしいと展望を語ります。

 

「暖簾をくぐる勇気を持ってほしい。ハードルが高いと思われがちだけれど、まずは入ってみてほしい」

暖簾をくぐった先には新たな出会いが待っているはずです。

 

かまや多治見

多治見市本町6-59-2

【営業時間】各店舗により異なる(instagramプロフィール欄をご確認ください)

【電話番号】0572-23-2636(たじみDMO)

 

 

■特別賞 Laboratoire AKO

 

地域資源を活用した産業振興につながる取り組みを行う施設を表彰する特別賞には、カヌレを中心とした洋菓子店「Laboratoire AKO(ラボラトワールアコ)」が選ばれました。

 

お菓子の持つ世界観を表現できる場所を探していたところ、美しい緑に囲まれた虎渓山にある古民家に決まりました。店内のデザインだけでなく、店の外観からイメージが広がるような場所を求めていたそうで、建物を見た時はピンときて即決したのだとか。

 

 

もともと飛騨高山の奥から移築された蔵で、外観の黒色はシックな雰囲気を醸し出します。そのイメージを損なわないようにあえて差し色はせず、外に置いているイスなどは黒色に揃えてあります。店内は、外観とのギャップを感じられるように派手なピンクストライプの壁紙、大きなシャンデリアなど振り切ったデザインになっています。

 

「ちょっとアバンギャルドというか……外観と調和しすぎるのではなく、引っかかりが出るようなデザインが面白いなと思ってオーダーしました」と話すのはオーナーの河合亜古さん。

 

カヌレ以外にキッシュも

Laboratoire AKOといえば、味わい深く見た目も美しいカヌレ。外がかりっと、中はもちっとという食感の違いを大切にしています。カヌレはとても繊細なお菓子で、じめじめとした高温の時や雨の日は、すぐに空気中の湿気を吸って柔らかくなってしまうそうです。そのため、梅雨の時期などは特に気を使って管理をしています。

 

カヌレは、常時10種類以上が並んでいます。バニラやチョコレートやイチゴの定番フレーバーから、夏ははちみつレモンバジルやパッションフルーツ、ミントなどの個性的な季節の味まで。黒ビールなどのエッジの効いたフレーバーが出ることも多く、今まで登場したフレーバーは30種類を超えるそうです。味の想像がつかないからこそ食べてみたい!どんな味なんだろう?と好奇心が刺激されます。

 

「例えば、香りが似ている部分があったからなど、納得のいく組み合わせで開発しています。かつ、なぜこの組み合わせにしたのかを説明できるように精査している」と河合さんは話します。

 

飾られている季節の植物にも注目(取材時には人参が!)

店を始める前は料理サロンを15年以上、河合さんの自宅で開催していました。その中でカヌレ作りのレッスンをする際に、他の料理とは比べ物にならないくらい試作を重ねてレシピを作ったそうです。その後、コロナ禍がきっかけで料理サロンの開催が難しくなったこともあり、苦労しながら作り上げたカヌレの販売を決めました。

 

「コロナ禍がなければ料理サロンを続けていたと思う。流れに身を任せ、全然考えてもいなかった方向に行くこともあるんだなと身をもって体験した」と河合さんは話します。

 

オーナーの河合亜古さん

料理サロンを再開しないのかと聞かれることも多いのだとか。河合さん自身も店を始めたことで意識が変わったそうで、「今の私だったらどういう料理を作るのかは自分でもすごく興味がありますし、面白いものができるのではと考えたりしますね」と笑顔で話します。

 

ぜひ、カヌレをはじめとした焼菓子を味わいながら、フランスのパティスリーのような世界に迷い込んでみては。

 

Laboratoire AKO

多治見市虎渓山町3-100

【営業時間】11:00~17:00 ※売り切れ次第閉店

【定休日】月曜日・火曜日(不定休あり)

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